Tuesday, 30 September 2025

林さんの失言

自民党の総裁選挙が迫っている。小泉さんと高市さんがリードしているようだが、個人的には林さんがいいと思っている。豊かな経験と温厚そうな人柄で、安心して任せられる気がする。

その林さんだが、先日「2万円の支給は私だったらやらない」と失言して問題になった。本人は直ぐに発言を撤回したが、評論家の田崎史郎さんによると、「夜の番組だったので、一杯は入っていたのじゃないかな?」と勘繰っていた。

酒が入るとヒトは饒舌になる。今はセクハラで干されているキャスターの反町さんも、明らかに普段と違う様子の時があった。自分で勝手に盛り上がっている雰囲気に、「彼は飲んでるな?」と確信した。見る人が見ると分かるのであった。

もう夜の付き合いも無くなったが、若い頃は毎日のように飲みに行った。酒の失敗も一つや二つでは済まない。だから飲めない人を見ると、真面目な人に映るから困ったものである。

今の若い人はあまり飲まないらしい。会社の宴会も少なくなったようだし、ビール会社もノンアルの売り上げが伸びているという。もうストレスをアルコールで解消する時代ではないのかも知れない。

Friday, 26 September 2025

限界効用逓減の法則

経済学の理論に「限界効用逓減の法則」がある。「同じ財を繰り返し消費するほど、追加で得られる満足度は次第に小さくなる」消費の原理である。

よく引き合いに出されるのがビールの味である。最初の一杯に比べ、二杯目に味わう感動は少なくなる。三杯目となると更に落ち、後は惰性状態に陥る例である。

男女の仲もそうだ。最初に会った時は新鮮だが、次第にほとぼりも冷めていく。そして三年目の浮気を経て、きみまろの言う「あれから40年」の世界に入っていくのであった。

同じものを食べても、見たい映画を観ても、好きな旅行に行っても、その感動は段々薄れていく。まあ歳だから仕方ないかと諦めているが、この効用逓減の原因の一つが、変らぬ消費性向である。

例えば食べ物だが、(私の場合は)寿司やトンカツが好きなので、迷うとその店に入ってしまう。本や映画も歴史物が好きだから、決して鬼滅の刃みたいなアニメや恋愛ものは観ない。(連れ添った伴侶は仕方ないにしても)同じ事ばかり繰り返していれば、感動が逓減するのは当然であろう。

一方で「収穫逓減の法則」もある。「同じ土地に改良を加えて収穫量を増やそうとしても、その増加量は次第に少なくなる」生産側の原理である。

飲食店で味の改良をしてお客が増えても、自ずと客席は限られているので販売額は頭打ちになる。自動車会社が同じ車を売り続けても、販売数はどこかで伸びなくなる。だから生産者は消費者が飽きないように、店を改装したりモデルチェンジを繰り返すのである。

この成長の波はとても大事で、それに乗る事が唯一の抗生剤かと思っている。例えばiPhoneの使い方であるが、何年か前に覚えたLINEや、先日もAirDropなる機能を知った事は大きかった。食べ物も新しい店がオープンしたと覗いて行くと意外な発見があるものだ。

着るものはもっと大事である。高いお金を出す必要はないが、常にオシャレに気を付けて新しい服を着ると身が引き締まる。哲学者サルトル曰く、「人は他人に見られて初めて自身の存在を得る」からである。

何の事はない、オシャレをして街に出て店を廻り、企業努力の恩恵に預かればいいのである。そうすれば逓減して横ばいになっていた効用も、少しは右肩上がりになるかも知れないのである。

Wednesday, 17 September 2025

ヨーロッパには熊がいない

毎日のように熊による被害が報告されている。山道で遭遇するだけでなく、最近では家のガラスを割って入ってくるそうだ。幸いそんな怖い思いをした事はないが、ヒトとの共存を考えさせられる。

熊の本物と出会った事はないが、グレゴリーペックの「小鹿物語」やディカプリオの「レヴェナント」の映画を見て、代替実感している。特に前者の犬との格闘シーンはどうやって撮ったのか、白黒だけに迫力があった。

そんな矢先、友人のYさんと話していたら、「ヨーロッパには熊がいない」と言う。山歩きを趣味としているYさんは、だから夏になると安心してヨーロッパアルプスのハイキングをするという。

本当かと思って調べてみたが、確かに英国、ドイツ、フランスなどでは絶滅して生息していなかった。ただロシアは国のシンボルだから勿論多いし、北欧にもいるから、正しくは「西ヨーロッパには熊がいない」であった。これは意外だったが、考えてみればサルもそうだった。

日本に来てサルが温泉で寛ぐ姿を見に来るのは、決まってヨーロッパの人である。「何でわざわざそんなサルを?」と思っていたが、サルは熱帯地方の生き物で、ヨーロッパには生息していないようだ。今ではサルは日本の立派な観光資源である。熊も工夫次第によっては、射殺されない第二の人生があるかも知れない。

ところでF・フォーサイスの短編小説に、「アイルランドにヘビはいない」がある。インド人の青年が元上司のアイルランド人に復讐しようと、インドからヘビを持ち込んだ。ヘビの毒牙で復讐には成功するのだが、アイルランドにはヘビが生息しない処から、犯人が分かってしまう話だった。ヘビは何処にでもいるかと思っていたので、これも意外だった。


Thursday, 11 September 2025

ガソリン税について

随分前から、ガソリンの暫定税率が問題になっている。「暫定」というなら恒久的に続くのはおかしいし、また消費税との二重課税もどう考えても腑に落ちない。暫定部分の25円/lが下がれば消費者にとってはとても助かる。ここは野党に頑張ってもらいたいと思っている。

その二重課税は、探せば同じような例は他にもある。例えば株式の配当金だが、配当は投資家が受け取る際には20%の源泉が差し引かれる。ところが支払う企業サイドでも、既に純利益に対して所得税を支払っているので、二度払いではないか?と思う。課税対象が異なるという理屈かも知れないが、何か癪全としない。

年金への課税も同様である。そもそも年金は現役時代の給与の積み立ての取り崩しである。給与は既に所得として課税されたので、これも二度払いの気がしている。

そうは言っても税制は国の柱、盤石を支える尤もらしい理屈があるのだろう。パズルのように一つ駒を動かせば全体に波及するから、中々専門家でないと踏み込めない世界である。自民党税調の宮沢さんに、素人議員が簡単に返り討ちに遭うのも分かる気がする。ここは政府(役所)を信じるしかないと正直半分諦めている。

ところで余談だが、高い高いと思っていた日本のガソリンは、ヨーロッパを旅してみて、随分と安い事が分かった。例えばスペインだと、レギュラーで1.8ユーロ/l(円換算すると300円/l)もした。東京で165円、長野でも180円程度だから、半分とまでは行かないまでも、日本はこの円安の時代においてかなり頑張っているのであった。

Tuesday, 9 September 2025

ケーブルカーの事故

先週リスボンでケーブルカーが脱線する事故があり、乗っていた乗客14名が死亡した。2カ月前に、同じ路線のケーブルカーに乗ったばかりだったのでゾッとした。

リスボンのケーブルカーは、日本の都電をひと回り小さくした大きさである。黄色のレトロ感が何とも可愛らしく、16世紀の古い街並みによくマッチしている。だから乗客は寿司詰めでも、遊園地の乗り物に揺られているような感覚になる。

車両は建物に衝突して止まったようだ。そのまま下まで突っ込んでいたら、大通りを走る車を巻き込んだ大事故になっていたかと思うと、それだけが不幸中の幸いであった。

リスボンだけでなく北大西洋に面するイベリア半島の町の多くは、そんな起伏の激しい岩山に築いている。日本人から見ると、それはとてもダイナミックで力強い。岩山は海に向かって落ち込んでいるから、もう後がない感覚である。逃げ場のない土地に住む民族が、海に活路を見出したのは容易に想像できた。

Thursday, 4 September 2025

鴨居玲とラ・マンチャの町

TVの「開運!なんでも鑑定団」は面白い番組だ。時々見ているが、いつも鑑定結果にビックリ意気消沈する喜怒哀楽が、何とも人間臭くていい。作家と作品を巡る蘊蓄も素晴らしく、「改めてお宝を見てみると・・・」の件まで来ると、一つ勉強させてもらった気分になる。

ところで最近、再放送だったらしいが、鴨居玲という画家の作品が出されていた。薄暗い女性を描いた作品で、取得額の300万円に対し1000万円の評価額が付いて会場騒然となった。
鴨は「自分の滅びゆく自画像」をモチーフにする画家という。内面の葛藤は嘸かし激しかったようで、素人が見ても嘸かし迫力ある生き様が伺える。

気になったので調べてみたら、彼は若い頃、スペインのバルデペナス(Valdepenas)で2年に渡りアトリエを構えていた事が分かった。バルデペナスといえばラ・マンチャ地方の町で、この夏に泊まったばかりだった。ただあの太陽が煌々と降り注ぐ土地から、どうしてかくも暗く陰湿な作品を描くようになったのか?こればかりはとても不思議である。

バルデペナスは人口3万人程のワインの町、スペイン屈指のテーブルワインの産地とあって、街に入る街道にはワイン樽がオブジェとして並んでいた。町の中心地には歴史を感じさせるバールがあって、タップから注ぐサングリア風が土地柄を物語っていた。鴨も毎日これを飲んでいたのだろうか。