タリスカーと並ぶ印象的な蒸留所が、オークニー島のハイランドパーク(Highland Park)である。
スコッチの多くはスペイサイドやハイランドで作られている。有名なシングルモルトのマッカラン(Macallan)やグレンフィディック(Glenfiddich)など、その酒蔵はとても美しい。行った時にも新郎新婦が記念撮影をしていたが、ビートの香りと相まって華やかな雰囲気がある。
一方オークニー島は、スコットランド最北端から船で渡る寂しい処である。人口2万人の島には石器時代の住居跡や、ストーンヘンジを大きくしたような石碑群が立ち並んでいた。こんな寒い所にも、古代から人が住んでいたかと思うと驚きである。そこにひっそりと佇むのがハイランドパークの蒸留所だった。
日本でもよく売っているが、スモーキーでどっしりとした味覚は好みである。「濃厚なシェリー風味のボディと絹の如き滑らかな口当たり」で、以来迷ったら飲むことしている一品である。
ところでそのオークニー島を舞台にした、ライト・キャンベルの小説「座って待っていたスパイ(The Spy Who Sat And Waited)」がある。
第一次大戦が始まる前に、ドイツは開戦を予想して島にスパイを送り込んだ。目的は島にある英国軍港の諜報である。彼は旅行者を装い定住し、現地の女性と結婚しバーの主人に治まった。そして待つ事20年、遂に戦争が勃発すると、軍港に停泊していた軍艦の撃沈誘導に成功するのであった。
男の名前はウルター、彼がバーで出していたのもきっとハイランドパークに違いない。ウィスキーの熟成に似た、只管待ち続ける仕事が終わった時の安堵感も一入だっただろう。これを読んでから、ひょっとして泊まっていた宿がその舞台だったか気になっている。
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