Friday 4 January 2019

リバレッジが劇薬に

今回のゴーン事件で問題になっているのは、個人の損失を会社に付け替えた疑いだ。新聞によるとその額は18億円と言われている。ゴーンさんの年収が20億円程度だった事を考えると、随分大きな額だな?と不思議に思っている。

ゴーン氏の生活の場は主に海外だったので、円で貰う給与をドル建てで固定したかったのは当然である。普通なら長期の為替予約して、円安リスクをカバーするのが定石であった。過度な円安になれば、損するどころかと得することになったはずだった。しかし今回は逆に、リーマンショックの円高で追証を取られたという。一体それってどんな取引だったのだろう?

調べてみるとクーポンスワップではないか?という解説があった。普通ならドルと円の金利差で先の為替水準が決まるが、これは両通貨の現在価値を加味した取引のようだ。現在価値を使うと、為替予約よりも有利なレートでドルを受け取る事が出来る。しかし想定以上に円高に振れると追証が発生するおまけも付いていた。もしそれが本当なら、本来はリスクを回避するはずの手段が、利益追求型の商品を買ってしまった事になる。そんな仕組みをご本人が知っていたかどうか分からないが、リバレッジも効き過ぎると劇薬になった例だった。

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