Wednesday 6 July 2011

ドイツ人のKISS

震災から早4か月が経とうとしている。政治は混迷を極めて前途多難だが、何とかしなくてはいけない。この間、ドイツの決断は早かった。地震があって1週間もしないうちに旧型の原発を止め、先月には2022年までに脱原発を決議した。

この違いは何なのであろう。一つは自然と人の関わりだと思っている。ドイツの多くの都市は100万人以下の中堅であり、住居は郊外の森に囲まれた庭付きの一軒家である。第2の都市ミュンヘンでも、多くの人々は郊外の村から通っており、そこには教会、小川、家族で経営するロッジが点在する。日常の雑貨は村の店で済ませ、特別な時だけ市内に出てきて買い物する。レストランは牧場の中にあるので、田舎の臭いとハエが邪魔するが、それも生活の一部と気にする人はいない。会社も郊外にあるので、職場環境は信じられない程快適だ。この自然との距離が、原発をして本能的な拒否感になっている。

もう一つは、意思決定プロセスである。議論を重ねトップが決断すると実行に移す、この単純な過程が一見日本と似ているようで非なるものがある。違いは、”トップの決断が絶対的なこと、そしてまずやってみてそれが駄目ならやり直す”、これが徹底している。日本人は始めるまでのコンセンサス作りに時間を費やす、だからやり直しが効かない。彼らの好きな言葉に、”すっきり且つ分かり易く”(Keep It Simple & Straight、略してKISS)がある。質素をモットーとするドイツ人らしい思想だ。中々マネしようとしてもこの文化の違いは大きいが、何とかならないものだろうか。

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