Friday 8 July 2011

My Estonia

昨年ベストセラーになった、Justin Petrone著「My Estonia」を読んでみた。アメリカのジャーナリストが、エストニアの女性と知り合い結婚するという体験談である。ピーターメイルの「南仏プロヴァンスの12か月」のエストニア版というか、外人から見た観察が面白く共感も覚えた。

まず食生活である。私は食べたことがないが、ここの主食でポーリッジ(Porridge)と呼ばれる粥はアメリカ人の口に合わないらしい。同様に血のソーセージや茹でた肉にも閉口している。いつぞや中国でザリガニが出てきた。美女が頭から丸かじりしているのを見て興醒めしたことがあったが、食べ物は国や人の先入観を変える。今でこそ市民権を得た寿司も、昔は生魚に虫ソース(醤油のこと)を付けて食べる下手物と見られた。

それからこの国の人の世界観、主人公の女性はサイババやマレーシアに憧れているらしいが、時として世界の一部を誇大化する傾向がある。私の知り合いの男も、宮本武蔵の五輪書の虜だ。思うに、寒くて長い冬の日に繰り返し読む本の世界が、そのまま頭に残ってしまうのかも知れない。ここの人は若い時に世界を旅行して回ることがとても多いが、アジアや中国、インドといったエキゾチックな国を好む。

ほっとするのは親戚の付き合いである。特に堅苦しい習わしはないようで、やはり結婚となると田舎の親戚を紹介して回る。その他北欧らしいHIV検査の話など興味深い。ともあれロマンティックで仄々する本だった。日本でも翻訳版が出るのといいのだが。

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