Monday 4 July 2011

民族の絆

この週末は歌の祭典があった。今年はサッカーで云えばユース版らしいが、素朴な国民行事を楽しませてもらっている。

その前夜の金曜日、寝付かれないこともあって夜遅く近くのパブに繰り出した。この季節、外はまだ薄っすらと明るい。普段は閑散としているのに、驚いたことに大勢の人がアコーディオンとギターで踊ったりしていた。察するに、歌の祭典の前夜祭のようだった。飛び入りで仲間に入れてもらったが、こういう時には異邦人に視線が集まる。まして近くに住んでいるとなると、KGBではないがと警戒されている気分になる。その内に英語の達者な人が助っ人に出てきた。曰く、エストニアの人口は130万人だが、生粋のエストニア人は70万人しかいない。これまでの600年の歴史は、ロシアとドイツの支配下にあったため、誰もの親戚にはシベリアに送られた人が必ず1人はいる。そしてそれを乗り越えて現在があると。悪酔いする輩もなく、静かに絆を確かめている様な光景であった。

独立を勝ち取ったのはソ連の崩壊だったかも知れないが、いち早く実現したのが民族の絆、その唯一の手段が歌なのだった。歌うことは当時の限りなく許された自己表現だった。歌の意味は分からないが、(語学学校のお陰で)祖国、父と母、祖父と祖母、子供たち・・・という言葉が良く出てくるの素朴なフォークソングだ。

祭典のパンフの一部が全てを物語っていた。「小国では勝つ必要はない、ただ上手な上演をすることは素晴らしいことに違いない。それは又、それ以上のことをもたらしてくれる!」

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