Thursday 13 October 2011

パブと居酒屋

パブの居心地がいいのは、ビールも然ることながら適度な空間があるからだ。人と人の距離が微妙に保たれ、英国文化が凝縮している。トイレの張り紙一つとってもそうだ。日本的には「もう一歩前へ」と云うところを、「貴殿のアレにご協力をお願いします。近寄って下さい。貴殿のアレは思っているほど長くありません(Your aim will help, stand closer, it`s shorter than you think)」と婉曲的な表現になっている。私は英語が苦手だが、回りくどいがウィットのある言い方は、英国人が好むらしい。尤も女性トイレの場合は、「全ての用を足すまで席を離れないでください(Please remain seated for the entire performance)」とそうでもないらしいが。


そして何より、ここが男の溜まり場だということ。飲むにつれ血が騒ぐようなフレーズも多い。例えば英国ビールのスピットファイア(Spitfire)は戦時中の戦闘機の名前だが、ボトルには Bottle of Britainと書いてある。勿論これはBattle of Britanを捩ったジョークである。英国騎兵がサーベルで「前へ!(Forward!)」、ロンドンプライドで有名なフラー社のロゴは、「何するにもプライドを持て!(Whatever you do, take pride)」、ウィスキーのへイグ(Haig)もスコットランドの名将かと思いきや、ただこちらは創業者の名前だったり、兎に角アルコールが進むようになっている。


とはいえこの時期、本当のところは日本の居酒屋が恋しい。人と人の距離がない、温もりが欲しい。路地裏の小料理屋に入り、湯豆腐、熱燗でチビチビとやりたい。

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