Saturday 17 January 2015

梅崎春生の小説「桜島」

桜島の海軍格納庫を訪ねた。沖縄が落ち、本土上陸が迫る中、錦江湾に入って来たアメリカ艦隊を魚雷で襲撃する基地跡だった。今では入り口が塞がれ、中は見ることが出来ないが、末期的な状況が伝わって来た。

その基地に暗号係として勤務していたのが、戦後「桜島」を書いた梅崎春生だった。それを桜島ビジターセンターで教えてもらった。早速本を取り寄せて読んでみた。東大を出て29歳で徴兵された作者は、竹槍の軍隊生活に欺瞞を持ちつつ終戦を迎えた。

桜島に来る前には、坊津にいたと知り驚いた。坊津は鹿児島南端の枕埼近くの入江の漁村だ。閑散としているが、007の映画「007は2度死ぬ」のロケ地になった場所として記念碑が建っている。そのことは先日のブログに書いたばかりだった。当時ボートの特攻兵器、震洋の訓練基地があったという。梅崎はそこで軍隊の苦汁を舐めたらしい。

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