Saturday 24 February 2018

グレンコーの渓谷

酒屋でFort Williamと言う名のスコッチを見つけた。Fort Williamはスコットランドの港町である。過去に2度訪れたので思い出が蘇ってきた。2回も行ったのには理由があった。最初に行った時は、町から海岸沿いを南下しグラスゴーに出た。しかしその後、民宿で一緒になったドイツ人から、近くのグレンコー(Glen Coe)の美しさを聞かされた。以来ずっとその事が気になっていたので、その2年後にチャレンジした訳である。そのグレンコーはハイランド地方の雄大な渓谷である。2回目はその霧に包まれた谷を経て、今度は内陸からグラスゴーに出た。


景勝も沙流事ながら、その地を有名にしたのは17世紀の惨劇であった。スコットランドの歴史はイングランドの抑圧に尽きる。それを象徴したのがこの事件だった。それは村人のマクドナルド一族40人が、政府の兵士によって殺害されたものである。今だに人々の郷愁を誘うのは、2週間近く村に滞在した兵士に、村人が手厚いもてなしを施した後だったからだ。一連を紹介しているインフォメーションセンターでは、その生き残りの話も出ていた。末裔のマクドナルドはアメリカに渡り、インディアンの娘と結婚し12人の子供を儲けたようだ。スコットランド民謡は陽気なメロディーだが、どこか物悲しく、このグレンコーと重ねると一層旅情を誘うのである。特にUtisetaやCoilsfield Houseの歌は遂々聞き入ってしまう。

Fort Williamも名前の通り、昔は兵士の駐留町だったのだろうか?今ではB&Bの民宿が立ち並んでいる。2度目に泊った宿では、夜に女将さんの親戚から電話があり、それは不幸の知らせだった。動揺するおばさんがとても気の毒だったので、翌朝は食事もせずに発った。かと思えば美しい虹にもお目に掛かったり、町のゴルフコースも廻ったし、スカイ島のタリスカーの蒸留所も行ったり、それは楽しい旅だった。

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