Monday, 21 July 2025

スペインの監視文化

 スペイン、ポルトガルを旅した。レンタカーで3週間、5000㎞を走破した。日本とマドリッドを飛行機で飛ぶと約1万キロだから、その半分に相当する。道は凸凹しているし、車線変更は殆どウィンカーを出さないので怖い事この上ない。よく無事に済んだと改めて思う。

どちらの国も褐色の人が多い。8世紀から15世紀までイスラムの支配下にあった名残なのか、将又中南米やアフリカの旧植民地から来た人なのか、フランスやドイツとはちょっと違う人種構成である。

どこの教会も立派である。取り分けサンチャゴやセビリア、コルドバは凄い。目が慣れて来ると、どれもイスラム風からキリスト風に改装したのが分かる。今ではレコンキスタ(イスラム排斥運動)は救国の極みになっているが、改めてイスラム文化の高さにも感心した。

王政と共和制を繰り返した近年の歴史も興味深い。今の国王も元はフランスのブルボン家の末裔だから、歴代の亡命先は決まってフランスだった。殆どはイスラムの影響を受けた地域だが、浸食されなかったバスクやカターニアは別物、独立志向が強いのも頷けた。フランコを生んだ内戦の傷跡が今でも散見された。

とある港町で駐車をしようと幅寄せをやっていた時だった。1.5台分のスペースしかなかったので悠々と真ん中に入れて離れようとした。すると前のアパートから叔母さんが「もう少し詰めないと駄目よ!」と言う。カーテンの隙間から見ていたのだった。

巡礼地サンチャゴの近くに、守護神ヤコブが上陸したと伝えられているパドロンと言う町がある。祀っている教会を探していると、やはり男が窓から顔を出し「そっちでなくあっちだ!」と教えてくれた。どちらも監視されていて、これも(内戦による)内通文化の名残かと思った。

ともあれ色々な体験をした。暫くはイベリア半島の旅を振り返ってみたい。


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