Tuesday, 22 July 2025

トルデシリャス条約

マドリードから北西に180㎞程行った処に、トルデシリャス(Tordesillas)という小さな町がある。観光名所ではないが、かつてこの町で締結されたポルトガルとの条約があった。それはコロンブスがアメリカ大陸を発見した直後の1494年、大西洋の西経46度37分を境に東をポルトガル領、西をスペイン領にしたのであった。

この線引きで、今のブラジルがポルトガルに、それ以外の南米がスペイン領になり、以降の言葉もそれが出発点になった。

もう一つ、同じ頃にカルロス1世がカール5世となり、スペイン初のローマ皇帝になった快挙があった。その母親のファナが過ごしたのがトルデシリャスの町だった。彼女は夫や子供の死で精神を病んだため、女王でありながら76歳の生涯の内46年を幽閉された。「狂女」とも呼ばれ、町の郊外に2年程幽閉されたモタ城も残っていたので行ってみたが、不気味な雰囲気だった。

因みに彼女の姉はイギリスのヘンリー8世に嫁いだ。ヘンリー8世と言えば6回の結婚を繰り返し、内2人を処刑した遍歴の有名人である。(子供が出来なかった)姉との離婚を巡っては、英国教会がローマと袖を別ったきっかけになったので大きな事件だった。

又50㎞程行ったヴァヤドリード(Valladolid)の町には、作家セルバンテスの家もあった。岩波新書の「物語スペインの歴史〜人物篇」に、家の前で殺傷事件があり、犯人を巡ってセルバンテス一家まで嫌疑が及んだ話が綴られてあった。事前に読んでいたので、それと重ねると400年前がグッと身近になったのであった。

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