Tuesday 29 September 2015

ノルマンディー上陸のIf

フランスでどこが好きかと聞かれれば、迷わずノルマンディーと応える。パリから車で1時間ちょっと、大西洋に拡がる海岸線である。リンゴ酒のカルバドスとクレープ、そして蠣などの海の幸、そんなグルメと避暑地である。ただ戦争オタクにはちょっと違うものがある。

未だに残るドイツ軍のトーチカ跡、連合軍の砲弾跡や戦車の残骸、中でもアロマンシュの海岸に置き去りにされた陸揚げ用の桟橋跡は、D‐Dayがまるで昨日のような錯覚に陥る。

五十嵐氏の「ヴィオロンのため息・・・」を再読した序に、J.リーソー著「ノルマンディーの偽装作戦(The Unknown Warrior)とL.コリンズ著「パリを取り返せ(Fall From Grace)」を読んでいる。成功したから良かったものの、仮に連合軍の上陸が失敗していればどうなっていたのだろう。ドイツは残ったかも知れないが、やがてソ連に吸収され、結果ヨーロッパは共産化されていたかも知れない。そんな思いが実しやかに伝わってくるのであった。歴史にIfはないが、この1944年6月6日はこのIfがなくて本当に良かった、そんな思いを募らせながら小説の世界に浸っている。

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