Tuesday 7 June 2011

兵士の足音

昨日は67年目のD-Dayである。といっても縁のない人も多いと思うが、1944年6月6日、連合軍の艦隊5,000隻、航空機12,000機を持って、16万人の将兵がフランスのノルマンジー海岸に上陸した日である。映画「史上最大の作戦」(The Longest Day)にみるヨーロッパ解放を象徴する日だ。いつぞやの節目では記念行事も行われたが今年は静かだ。

私は戦場の跡地が好きだ。ナポレオンが敗れたベルギーのワーテルロー(Waterloo)、第一次世界大戦のマジノ線があったフランス東部のベルダン(Verdun)、映画バルジ大作戦の舞台にもなったベルギードイツ国境のアルデンヌ(Ardennes)地方等々、随分あちこち行った。殆どが今では田舎の農地のためとても静かだ。ただ耳を澄ますと、暫くして兵士や馬のひづめの足音が聞こえてくる気がする、これが何ともいえない。

中でもノルマンジーは今まで10回以上は訪れたか、最も好きな場所だ。長い海岸線を、映画やコーネリアス・ライアン著の原作を基に一つずつ確認する作業を行う。Sord, Juno, Omaha, Gold, Utah Beachといった上陸地点、英国コマンドがグライダーで奇襲したPegasus Bridge, フランスコマンドのOuistreham,  物資陸揚げのArromanche等々。それらは今でもしっかり当時の面影を残しているから、私みたいなマニアにはたまらない。米兵のパラシュート兵が引っ掛かったSaint-Mere-Egliseの教会には、未だに屋根に白い落下傘が掛かっている。

いつぞや早朝にOmaha Beachを歩いた。この季節、普段より100m以上も遠浅になり、海に向かってどこまで歩いても砂浜が続く。深い霧で視界も遮られる中、カモメの鳴声だけが聞こえる幻想的な世界だった。

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