Sunday 15 July 2018

忠犬ハチ公の飼い主

お盆の季節である。迎え火を焚き、お墓参りに行く。猛暑の中、何か所も廻るのはきついものがあるが、これも生きていく生活の営みのである。

その一つ、青山墓地を訪れ、先祖の供養を済ませた。帰り道、ふと忠犬ハチ公の碑が目に入った。それは、飼い主だった東大の上野英三郎教授のお墓であった。昔映画で見た上野教授は初老の紳士だった。渋谷駅からの帰り道、ハチを連れて居酒屋で一杯やる姿は、定年前の渋さがあった。しかし調べてみると、氏が亡くなったのは53歳だったので、今から思えば随分と若かった事になる。

知らなかったが、ハチは教授が亡くなってから10年も渋谷駅に通い続け、碑が建ったのは9年目と云うから、未だハチが生存していた頃に出来た事になる。碑の建立は1934年というから、ヒットラーが総統になったり、日本がワシントン条約を破棄したり、戦争が近づいていた頃だった。当時の状況を考えると、号令一科で敵陣に突っ込む忠誠心と重なったのは容易に想像できる。余談だが、1934年は美智子妃が生まれた年でもあった。それが分かると、知らなかった過去がグッと身近になったのである。 

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