Tuesday 24 July 2018

キリマンジェロの雪

人は死を予感した時に何を思うのだろう?昔の映画「キリマンジェロの雪(原題:The Snows Of Kilimanjaro)」は、そんな男の生きざまを描いていて面白い。主演はグレゴリー・ペック演じるアメリカ人の作家である。アフリカで足を負傷し壊疽になり、迎えの飛行機が来ないまま、傷はどんどん悪化し死期を悟るのであった。

その病床で夢に出て来るのは、過去の女性達であった。売れっ子作家とパリで生活していた頃、3人女性と付き合う。それは一見華やかだったが、結果はどれも挫折と別れであった。その苦い過去を振り返り、自身の不徳を顧みるのであった。作品を見ていると、それは作者のヘミングウェー自身と重なって見えて来た。自由奔放には生きたが、終わてみたら何も残っていなかった、そんな気持ちになったかどうか分からないが、彼は自身に向けてピストルの引き金を引いたと云う。

余談だが、世界の主要都市にハリーのバー(Harry`s Bar)がある。パリにもオペラ座近くにこの名前の店があり、今でもレ・ミゼラブルに出て来るような靴磨きの少年がいたり、中々歴史を感じさせる名店である。「キリマンジェロの雪」の主人公もハリーだったので、ひょっとしてヘミングウェー好みのパリジャンがその名を借用したのだろうか?そう言えば、高級ホテルのリッツのバーの名前もヘミングウェーバーだから、長く滞在している時に通ったのかもしれない。いつか誰かに聞いてみたい。

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