Monday, 7 September 2026

子供時代の暗い過去

 東野圭吾の「悪意」は、名を馳せた作家を成功しなかった作家が殺す話である。二人は子供の頃からの知り合いであった。加害者の動機は、その子供時代の悪事を知る同僚の抹殺であった。その動機を隠すために、別のシナリオを組み立てて殺すといった、込み入ったストーリーであった。話としては面白いかも知れないが、捕まる事を前提に犯罪を犯す人なんていない。


この手の代表作は、何と言っても松本清張の「砂の器」だろう。物語は大成した音楽家の処に、自身を育ててくれた恩人との再会から始まる。しかし彼にとっては、今の輝かしい経歴に暗い過去は似合わないし、ましてそれを一から知る人は邪魔である。そこで殺人まで犯してしまうが、刑事が二人の繋がりを発見する件が面白い。

確かに都合の悪い過去を、他人が覚えているのは気持ちいいものではない。特にその人が大成し、社会的な地位を築けば築くほど、それは恐怖へと変わっていく。

まだ小学校に入るか入らないかの頃だった。よく家に子供たちが遊びに来た。ただ彼らが帰ると、引き出しに仕舞っておいたチョコレートがなくなっていた。それは何度か続き、そのうち犯人はK君だと分かった。

もしもそのK君が大人になって代議士か大会社の社長さんになって再会したらどうだろう?殺されることはないだろうが、訳もなく疎遠にされるのは容易に想像できる。

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