記憶が蘇ってくると、そのロビー二(Rovini)はテニスの町だった。旅した夏も国際大会をやっていて、首都でもないのに道路が随分と整備されていた。だからフェデラーもヴァカンスではなく、その関係で訪れたのかも知れない。
ところでそこから100km程北西に行くとイタリアで、大きな港町トリエステ(Torieste)がある。私のお気に入りの一冊だが、ジュール・ベルンの「アドリア海の復讐(原題:Mathias Sandrof)の舞台である。
ハプスブルグ家から独立を目論むハンガリー人(マジャール人)の物語で、デュマの「モンテ・クリスト伯」を焼き直しした復讐劇である。
物語はそのトリエステで、謎の暗号を持った伝書鳩が見つかってしまう処から始まる。アンテキルト博士の名で復讐する彼が現れたのがドブロブニクだったり、フィクションと現実と混ざり合っていて面白い。
また北東に行くとスロベニアに入る。その国境の山奥にコバリド(Kobarid)という小さな村がある。そこに第一次大戦の「カポレット(Caporetto)の戦い」の記念館があると言うので行ってみた。
戦いはオーストリアにドイツが加わった連合軍がイタリアに勝利する。その混乱を描いたのがヘミングウェーの「武器よさらば」だった。映画ではアメリカのイタリア義勇兵をゲイリー・クーパーが演じていた。愛人との逃避行もあってロマンティックな作品でもあった。
映画で見たシーンを思い浮かべ、両軍が対峙した山岳地帯に残る輸送路や塹壕の跡を歩くと、砲弾が飛び交った当時が蘇ってきた。戦跡巡りのオタクとしては、ノルマンジーやワーテルロー並みに感慨深かった。
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