バンクーバーの中国人は人口270万人の内54万人、つまり5人に1人を占めている。思い出すのは1997年の香港返還である。あの時、比較的豊かな香港人はアメリカやカナダに逃げた。ただ行ってみると仕事もなく、その後戻ってきた人も多かったから、その時「世の中そんなに甘くない」と思った。ただ中には成功した人もいて、典型的なのは今のバンクーバー市長である。公認会計士から身を起こし、中国系初の市長になった。
カナダの中国人は元来、19世紀に鉄道労働者やゴールドラッシュの炭鉱夫としてやってきた人だ。鉄道が完成しても残留を希望したため、仕事は洗濯、掃除、料理人と社会の底辺で生きてきた。今でもチャイナタウンに行くとその面影が残っている。薄暗く汚い街並みに大声が飛び交うレストラン、路上ではクスリ漬けの男が屯っていた。
ただ最近の中国系は随分と豊かになっている。ゴルフ場に来る人たちはその典型だろう。移民が中国本土からのお金持ちや、技術を持った知識層に代わっているからだ。ひょっとして今(習近平が追い掛けて)問題になっている、巨額な不正蓄財を持って海外逃亡した資産家も含まれているのかも知れない。
彼らの子供も勿論大学を出ると、IT、金融、医療といったホワイトカラーの仕事に就く。同世代の大卒の割合はカナダ人平均の倍近くもあるという。一方で偏見や差別も相変わらずで、中国系の若者の失業率や未婚率は、同世代のカナダ平均を上回っている。卒業しても厳しい現実が待っているのだ。
カナダは広大で自然豊かな国である。ただ一方で(日本から見ると)ひと気はなく気候も寒々しい。私なら「移住したいか?」と聞かれればNOである。いくらゴルフ場が奇麗でも、もっとゴチャゴチャして刺激があった方がいい。
しかも所詮は他人の国である。そんな処で帰るに帰れずに骨を埋める選択した中国人の強かさが印象的だった。
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