Sunday 6 May 2018

キラニー湖と長崎

九州の潜伏キリスタンが世界遺産の登録されたという。確か昔は「隠れキリスタン」と言っていた気もする。いつの間にか変わってしまったのだろうか。有名になるのはいいことだが、昨年の富岡製糸所ではないが、つくづく箔を付けるのに熱心な人がいるのに感心してしまう。そんな中、古本屋で買ったヒュー・コータッツィ(Sir Hugh Cortazzi )の「維新の港の英人達(原題:Victorians in Japan: In and Around the Treaty Ports)」はとても面白い一冊だった。本の中にその件も出て来た。

例えば長崎の地名、それは16世紀のキリスタン大名だった大村純忠の家臣、長崎純景の名前に由来していると言う。長崎をイエズス会に寄進した1579年の頃だ。また当時の長崎港の風景を、同行したW.M.Bellと言う陸軍少佐は、アイルランドのキラニー(Killaney)湖とスコットランドの渓谷トロサッシュ(Trossachs)が混じり合った様な景色だと書いていた。キラニーは、今やゴルフのアイルランドオープンの開催場所にもなっている一大観光地である。数年前にそこでゴルフしたが、レストランでは湖で捕れたマスを振る舞っていた。またトロッサッシュもミシュラン三ツ星の国立公園である。メル・ギブソンの映画「ブレーブハ-ト(Braveheart)」の主人公ウィリアム・ウォレスが活躍した舞台の近くである。ただどちらもちょっとほめ過ぎじゃない?という気もしないでもないが、長崎の自然はそんなに美しかったのかも知れない。

同じように大阪(当時は大坂)は、「セーヌ川のサン・ルイ島のように、ぎっしりと家が立て込んでいた」と紹介されていた。著者は駐日英国大使だったので、これはお世辞みたいだ。味についても、「神戸のオリエンタルホテルの味は、シンガポールのラッフルズの亀肉ステーキ、ペナンのオリエンタルホテルのカレー、香港のヴィクトリアホテルの雛肉レバーの何れにも勝る」と絶賛した件を紹介していた。兎に角、当時を知る一級品の本である。

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