Thursday, 24 May 2018

大手町の玉乃光

どんどん再開発が続く東京、久々に大手町に行ってみると随分と雰囲気が変わっていた。20年前の三和銀行や富士銀行のビルも高層ビルになっていた。残された平将門を囲む一帯も、最後の開発工事が進んでいた。昔を知る一人として、思い出も吹き飛んだかのような感じだ。物凄いスピードで進む東京の変化を受け止めるしかない、そんな心境だった。

そんな中、唯一健在だったのは大手町ビルである。昔から、利権者が入り込んでいるので、中々建て替えられないとは聞いていた。ただその後、周囲のビルがドンドン再構築されているのに、未だに残っているのは奇跡としか思えない。ビルも沙流事ながら、地下の飲食店には頭が下がる思いだ。鰻の「手の字」など当時のままだし、千代田線に向かうゴルフショップも良く持ち堪えている。そしてその通りの一角にある「玉乃光」に寄ると、主人がテキパキと旬の酒を出してくれるのがとても快かった。

その玉乃光だが、大昔に若社長を海外のレストランで持て成した事があった。若社長は注文を聞きに来たソムリエに、持参した玉乃光を取り出して、試飲したいと言い出した。仰天したソムリエだったが、大事なお客の要望に応じて、彼も一緒にその酒を飲むことになった。若社長がまず飲み方のデモをし、それに合わせてソムリエも音を出して喉に流し込む流儀を真似した。ただ横で見ていてちょっと恥ずかしかった。今でからこそ日本酒が認知されているが、当時は「なんだコレ!」の世界だったから猶更だ。あの商売熱心だった彼は今どうしているのだろう?そんな事を思い出した。

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